Black Diamond Crack Gloves のレビューとジャミンググローブについて考える

昨年のエイプリルフール、キャメロット21番が発表され、
その陰にひっそりと7番と8番が掲載されていたが、同じくして確かこのアイテムも発表されていたはず。

日本の全クラッカーの皆様、大変お待たせ?しました。
今回BDのクラックグローブのレビューです。また巷で耳にするジャミンググローブはチート、裏技なども合わせて考察していこうと思います。
また有名どころのオーツンのグローブ、テーピングとの違いも合わせてお伝えできればと思います。
ただし、永遠の5.9クライマーですので、参考になるかは分かりません。

スクリーンショット 2
↑米国のサイトでも需要のあるサイズは売り切れ。

まず第一に書いておかなければならないと思うので、僕がなぜジャミンググローブを使用するのかを書きます。
これは多分このレビューをする上で避けられないと思うので。

<僕がジャミンググローブを使う理由>
大半の人がテーピングをして登っている中、僕はジャミンググローブを使用し登ることに切り替えました。
その最たる理由が手汗です。
フィストで裏拳状態で登っていると、2、3分以内のうちに手の平は手汗でびちゃびちゃ(小さい湖できます)になります。
ハンドジャムに関しては、ひどいと2、3手でテーピングが皮膚から剥がれ、隙間ができ、テーピングと手の甲の間でずれ、ジャミングがまったく決まらなくなります。実際にこれが原因でジャミングがすっぽ抜け、フォールしました。そして足首を捻挫する羽目に。

そもそもクラッククライミングでテーピングをするのは皮膚の保護がメインで、フリクションをあげて登りやすくすることが第一目的ではないと考えていますが、これだけ手汗が出てしまうのでは、皮膚保護はできるものの、登攀の邪魔になるという状態になります。
皮膚につきやすくする為、登る前日に前腕から手のひらに生えるムダ毛を剃り、手汗を少なくする制汗剤をつけたりもしましたが、いずれもダメでした。
1日に何度もテーピングを張り替えたり、補強したりしていましたが、時間もコストもかかる為、総合的に見てもジャミンググローブを使わない理由が見つからなかった為、使うことにしました。

簡潔に書くつもりが長くなってしまった。色々ありますが、この辺で。

開封〜使用後の状態>
入手してから瑞浪名張、ジムのクラック壁でがっつり使用しました。
まずは開封のところから
開封後に装着。こんな感じ。
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説明書を見ると日本語が存在する。
輸出のことも考えているのかどうかはわかりませんが、ロストアローはギリギリで頑張ってくれているので、儲けが出なさそうなので取り扱わないと勝手に思ってます。
売るとしてもオーツンのグローブと同じくらいの設定じゃないと利益が出ないでしょうね。
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どうでもいいですが、説明書ですごく気になった記載。
右手でジャムするのはいいのに、左手はなんか「!」こうなっている。
当てているクラックの絵も大して変わらないが…。
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岩場でしばらく使用して、いい感じにへたってきた状態です。
名張で使ったらドロドロになって茶色になった形跡が写ってます。
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レザー部分とラバー部分の接着部分の端面はやはり剥がれやすい。
また長いこと使っていると、指を通すホールの付け根が徐々に剥がれてきました。
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これも少し見にくいですが、ラバーの浮きが出てきています。
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<装着感>
ほぼテーピングに近い厚さです。白いしちょっとブニブニしているので、僕は勝手に湯葉みたいだと言っています。湯葉グローブ。テーピングだと3枚くらい貼り付けた感じの厚さに近いかなと。
当たり前ですが、テーピングと比較すると手の甲に対しての密着感はそこまでありません。
手首の部分でストラップを締めますが、締めても手の甲側に隙間があるため、テーピングのようながっちり密着を求める人には不満と感じる部分かと思います。

<ラバー面に関して>
ここもテーピングを使用して登っている感覚に近いと感じました。
ラバーの厚みも薄く、チートになりやすそうでならない辺りの量と粘り気だと感じます。
オーツンのものはがっつりかかりますが、BDのものはマイルドに引っかかる感じです。

<耐久性>
日数にして1ヶ月も使用していませんが、長くもっても1ヶ月くらいじゃないかと。
花崗岩で使用したあと、ラバーの端面がめくれ始めたので、ラバーが先に剥がれるか、レザー部分に穴があくorすり減ってなくなる、それかホールの部分がちぎれるのどれかじゃないかと。

<総評>
ラバーが分厚くないのでハンドジャム、シンハンンドの邪魔にはなりにくいです。
が、やはり手首で固定しているので、血流が阻害されるのかパンプしやすいです。また指のホールについても同様ですが、ジャミンググローブを使用する上では逃れられないデメリット部分ですね。
花崗岩では皮膚の保護は大丈夫か不安でしたが、思っていたよりも大丈夫でした。
ただやっぱり出っ張りがあるところに当たると、それなりに痛いです。
フィストジャムを決めるときは親指が保護されているので、不安なくかけにいけましたが、これは個人差もあるので人それぞれかなと。
手の甲の感覚はしっかりとあるので、ジャミングの際岩に沿って手の形状を変え、微妙な形状のコントロールができると感じました。

<オーツンとの比較>
有名どころのオーツンのグローブです。
分厚いから手のハンドサイズがキャメロット3番の僕にはちょっときつい。
BDのものを使った後に使用すると、違いがありすぎてびっくりします。
ちなみに、装着しづらいので、マジックテープがある箇所に切れ目を入れて、装着しやすくしてます。
あと、僕はこれを使用して2回登っただけで、この赤い皮の部分が湿ります。
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長いこと使用していますが、この部分がもう少しで千切れそうです。
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BDのと比べて、ジャミングを適当に決めてもしっかりかかるのと、手の形状を変えなくても、スコンとジャミングが決まります。
「ジャミンググローブを使うとジャミングは上手くならない」とか「簡単に止まるからチート」
と言われる理由はここにあると個人的に考察します。

ジャミングは手の形状を岩に合わせてぴったりさせ、クラック内部に挟み込み、ズレないようにさせるのが基本的なところだと思うのですが、オーツンのものは適当に奥に突っ込んで親指を内側に倒せばまずジャミングが外れることなく、ずれることもなく決まります。
ジャミングのずれる、外れるかもしれないという部分を機にすることなく、「かかった」と思ったら、そのまま腕を引きつけてしまえばクラックを登っていけるような仕組みです。

対して、BDのものは少しでも当たりが悪いとズレ始めます。かかっている感覚もずれるかもしれないという感触があり、場合によっては指の位置を変え、手の甲部分の骨の膨らみ、当たり位置を調整していく必要がある時もありました。また先述した通りラバーもオーツンのものと違い、がっつり効くような粘りけではないので、ラバー部が当たっていてもズレていく感触があります。

一番しっくりくるのは車に例えることかと。シューズでもよく見る記載ですね。
オーツン:オートマ
BD:マニュアル
という感じがしました。

ジャミンググローブは使いたい、でも人目が気になるとか、今後ジャミングの精度を高めたいと感じる人にとってはBDのグローブの方が向いていると思います。
オーツンのグローブはクラックが初めての人、インディアンクリークのようなスパッと割れて表面がサラサラの岩に対してはめちゃくちゃ相性がいいんではないかと(行ったことないので知りませんが)

ただ、これを使っても登れないルートは登れないし、ジャミンググローブを使ったからといって必ずしも登れるということではないという事実も勿論あります。

色々とかいてみましたが、一個人としての考え、意見が大半だと思うので、そんな考えもあるんだな〜程度に流して貰えばいいと思います。

ジャミンググローブ使って登るとかダセェとかチートとかありますが、
人類代表:最強と言われるアダムオンドラさんはがっつり使って登ってますので、もうそんなんいいんじゃね?と僕は思っています。


あと今年、ワイドボーイズが監修してるクラックグローブが発表になってます。
こちらの作成の裏ムービーではBDのグローブっぽいものが置かれてたので、かなり対抗意識を持って作られています。
トムさんが熱意を込めて話してくれています。
こちらもいつか試したいですね。

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