2021.9.11-12 錫杖岳 注文の多い料理店

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もうすでに先週末の話だが、山岳会メンバーのワッキーと錫杖岳に行ってきた。
山岳会に入って1年ほどたった2018年の9月に当初計画されたが、
その後、翌年2019年はなぜかヨセミテに行くという高飛びをし、
昨年の2020年は、いつ行きますかと計画者に確認していたのだが、
ジャク豆でフォールし、捻挫。自分で行けなくさせてしまった。

今回は錫杖岳初めての2人で、アプローチから登攀まで行ったので、冒険感覚がより強かった。
というか、一応アルパインに属しているルートのため、それがそうさせたのもあるし、
前日の雨で自分で落石を発生させる可能性があったせいもあるのかもしれない。

9/11 1:30に駐車場着。七宗町下呂通過中だったかに雨が降っており、翌朝ダメなんじゃないかと思いながら運転していたが、悪い予感が的中した。

5:00頃車内で目が覚める。天井を叩く音がする。フロントガラスに目をやると、やはり雨が降っていた。
となりの相棒の車を見るとがっつり寝ているが、30分後にラインがきた。
予報では昼あたりに雨から曇りに変わり、翌日は晴れ/曇りの予報だったので、11日はのんびりベースキャンプ地までいき、翌日注文の多い料理店を登る計画とした。

とりあえず時間を潰すために二度寝したり、現地実況したりしながらやり過ごす。
近くの砂防資料館が閉鎖しているのに合わせ、トイレもコロナ対策のために閉鎖されていた。
ウ●コのためにも、我が親愛なる黄門様のためにも、鍋平園地公衆トイレに行くことにした。
トイレは無事に開いていた。
駐車場からはこの後行く予定の前衛壁が見えた。ここでもフォレスターが目につく。

戻ってまた二度寝して、準備を開始することにした。
他のパーティーも出発している様で、逆に雨に降られ敗退してきたパーティーもいた。

そんなこんなで登山開始。
登山なんてしない私にとっては、全ての登りが急登にしか感じない。
途中平坦な箇所も多かったが、基本的に急登がずっと続く。泊装備、食料等も入れたフル装備のザックを担いでの歩きは肩にも負担がきて途中で体が曲がり始める。
ストックを2本使用していたが、今回マジで持ってきてよかったと心底思った。
とにかく辛くてヘロヘロになっているところで、踏み外すと落ちれる箇所がなんどもあった。
そこからの笹薮を歩く。楽しくない。

やっとの思いで分岐に到着し、分岐すぐには1パーティーが2つテントを張って宴会中、その下の場所でもテントが張られていた。沢の申し子ワッキーが、良い場所を選定し、タープ候補地とした。
ひとまず、他に場所がないか確認したが、めぼしいところがなかったため、にタープを張り、宿とした。
テントを持って来ず、ツェルト泊予定にしていたが、これが逆によかった。

9/12 5:00頃に朝食を取り始め、準備をする。途中知り合いのHさんが登ってきた。奇遇だ。
6時15分頃に取り付きまでのアプローチを開始した。ここから取り付きまでも普通にきつくてへばった。7時ごろに取り付きに無事に到着。

注文の取り付きにはすでに2パーティーがいた。
1つおくには見張り塔からずっとの取り付きがあり、先ほど遭遇したHさんパーティーが登り始めていた。
前日もそうだったが、登り初めてすぐに汗がびちょびちょになり、そのごシャツが全く乾かない状態だった。この日も同様でシャツが全く乾かない。
汗冷えと格闘しながら登攀準備を進めるが、先行パーティーがいるので、のんびりだ。
第一パーティーは核心のハングでテンションをかけていた。

計画時に「全ピッチフォローでいいなら」と注文が入っていたワッキーだったので、
全ピッチオールリードと覚悟していたら、「もうリードする気満々できたぜぇ?」ってなったので、最初の1、2ピッチをリードしてもらうことになった。

1ピッチ目:フォロー
どこから登っても同じらしいが、雨によりくさつき部はぐしょ濡れ、簡単と言われているにしては悪い。登山疲れのせいなのかなんなのかよくわからない。
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2ピッチ目:フォロー
普通にクラック登りした。途中までオフィズス。溝にはまっていると外側にある足場にできるホールドが見えない。途中クラックからフェイス面に移り、登る。最後が悪い。というか狭い。
そのため右側から回って登り上がった。
2ピッチ目をリード開始前に、迷い込んだ登山者なのか、ただのクライマーなのか不明な野郎が一名。
とにかく危なかった。事故が発生しなくてよかった。
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3ピッチ目:リード
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ここが核心と言われているピッチかと見る。思っていたよりもハングの距離が短く、長期戦にならなければどうってことはないのだろうと観察する。残置の4番が見える。
手がかり足掛かりはあるのだが、体がデカすぎるせいで向きを変えたりするのがすごくやりづらい。
態勢をいろいろ変えていきがゼーゼーしてきた。足もどんどん疲れてきて痺れる。
とりあえずフィスト主体で乗っこす。クラック内部がしっとり濡れているのもあり、いつツルッと行くかわからないこともあり、怖かったが、問題なく行けてよかった。
乗っこしてちょっと登ると見事に5番が残置されており、若干邪魔。5番の上に4番を決めて登る。
どう考えても5番幅じゃないところに5番残置がされており、意味がわからなかった。
地蔵テラスと呼ばれる場所につくが、ここも狭い。
支点構築して、セルフを取るまでしてオンサイトだ!という無意味に自分との戦いが発生。
片手でしかセルフを取りに行けないのに、ビナがクルクル回りセルフがかけられない。
無事にセルフを取り、ワッキーをビレイする。
途中、決めた4番がロープがガッツリ引っかかたせいで、残置になる可能性があったが、ワッキーがしっかり回収してくれた。感謝。

4ピッチ目:リード
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地蔵テラスからコーナークラックを伝って登る様だが、中はしっかりベットベト。
とりあえずクラックに半身を入れていかないと登れなかったので、半身を入れて登る。
濡れていても体が入って止まっているのがわかるので、なぜだか安心感が半端無い。
最近下手なガバよりもジャミングの方がめちゃくちゃ安心する瞬間の方が多い。
クラックから移り、トラバース部分があり冷やっとし、地味にプロテクションが取れない。足も疲労で辛い。
上部もトラバース。ここは簡単だったが、なかなかヒンヤリ系。
その後超快適なテラスへ向かいフォローをビレイ。

5ピッチ目:リード
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もうすぐ頭上には左方カンテのピッチがあり、恐らく懸垂下降待ちと思われるパーティーがいる。
このピッチは快適だった。がここでもまたなぜか新し目の5番を発見する。またか…と。
探せばガバとかあるだろうけど、クラックばかりやっているので自然とオフィズスで登っていく。
左のハンドサイズのクラックは私には悪目のシンハンドサイズ、これオンリーでは登れないなと。
後ろから視線をもろに感じる。ギアラックから後方からカムを取ろうとすると、視線にお綺麗なお姉さんの姿が視界に入る。
結構モロにガチ目にしっかり登りを観察されていたので、恥ずかしかった。
最後の方は左方カンテ側にあるフェイスの方へ移動していくが、徐々にプロテクションが取れない所が出てくる。そして延長したりしたため、スリングがヤバ目。セルフ用と最終終了点構築用のスリングを使ってランナーを取り、終了点へ。
最後はメインロープで支点を構築してフォロービレイすることになった。
ビレイ中、若い男子が懸垂下降してきて、私を通過し、一段下の木にあるスリングで止まろうとしたので、こちら側にある支点使っていいですよと声をかけ誘導した。
2ピッチ目をビレイ中に危険な登山者が危険な行為をしていたため、かなり敏感になっていた。
11時ごろ登攀完了した。


トップからは本峰が見え、Hさんパーティーが大洞穴の横を登っているのがくっきり見えた。
逆に視線を送ると、北アルプスの有名峰が見えるが、登山しない僕にとって
右から山、山、やま、ヤマ、左まで山でしかない。
途中乳首というかおっぱいみたいなのもあるので、もう全部おっぱい山でいいや。
とんがりおっぱい、ロケットおっぱい、お椀型おっぱい、エトセトラ

その後3回の懸垂下降で取り付きへ。
途中、名古屋から来たというパーティーと遭遇し、談笑。上であった男子2名パーティーが注文を登っていた。

地上に無事に戻り、左方カンテも行ける余力があったが、Tシャツも乾かないし、帰りの運転も下道で長いから欲は出さずにそそくさと下山。
取り付きからBCまで30分弱、BCから駐車場まで1時間20分ほどで下山。

今回3年越しにようやくリベンジでき良かったが、調べて知っていた内容と違い、残置が相当多かった。
登攀中に見た残置カムは、
#0.75、#4 X 2個、#5 X 2個の計5個あった。
0.75については幸せ未満のルートに近くなる箇所で、そこにはハーケンもあった。
また注文のルートではなかったが左方カンテにも残置を確認した。
ちょっとこれは残置が多すぎでは無いか?と感じてしまった。
可能な限り残置を回収しようと試みたが不可能だった。

使用したギアに関しては、結果としてカムは2セットもいらなかった。
2セット使ったのは4番のみで、それ以外は1セットずつしか使用していない。
0.3に関しては一度も使用していない。
各ピッチの終了点をカムやナッツで構築するのであれば2セットが必要になる。

ヨセミテと同様な感覚で登れるマルチなのかと期待したが、わかっちゃいたけど、それは無理な話だった。(当たり前)

登攀能力は3年前に比べて今ではクラックのルートをリードできる能力があるため、3年前に行っていたらフォローであってもかなりヒィヒィだっただろうという箇所がポイントであった。
また歩く体力も今の方があるため、あの時もし行っていたら確実に足手まといになっていただろう。
色んな要素が詰まってくるだけに、やはりアルパインとしての特色が強いと感じた。
(まぁ歩きが強い人、地元の人にしてみればゲレンデの域になるだろうけども)

また行くかどうかは、不明。